本作は、製作を始めた日に最もニュースで目にした2文字を、その文字からインスピレーションを得た配色で刻印した。
作家が慣れ親しんだ版画的手法でもある自動車用塗料によるマスキング塗装を用い、亜鉛合板に6層吹き付けた。
美しく、長く保てる溶剤塗装を用いた自動車も、資本主義の加速で10年足らずで廃棄されていることへの問いとして、墨と紙の対極の素材を用いた。また表具も劣化しにくいレザーやアルミなどを用いている。
立体的に映る文字は、新しい複製技術である3Dプリンタで印刷する際に内部に生成される構造体=INFILLによって形作られた文字の骨組みである。現在多く流布しているゴシック体を立体化したものから生成された構造を文字と見立てることによってそれは「文字に基づいた文字」となる。
文字の虚の部分である構造体にフォーカスすることで、文字の本質や質量を問うことを試みる。
また、本作は同時にNFTを介したIPFSネットワーク上にも並行して文字を刻印することを試みる。
物理作品の劣化や破壊が先か、デジタルネットワークの消滅が先か。
未来に発掘される文字は果たしてどちらなのどちらなのだろうか。
This work was engraved with the two letters he saw most in the news on the day he began production, using a color scheme inspired by the letters.
The three-dimensional letters are the skeleton of the letters formed by INFILL, a structure generated inside when printing with a 3D printer, a new reproduction technology. By regarding the structure generated from the three-dimensional Gothic typeface that is currently widely used as a letter as a letter, it becomes a "letter based on a letter".
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